このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年5月5日土曜日

山行記 : 【3日目 その1】 2012年4月29日~ 奥秩父主脈全山縦走(失敗) 国師ヶ岳、北奥千丈岳編

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5月1日。

山の朝は早い。

はずだったが、目が覚めたら5時だった。。。
昨日も一昨日も、あんまりちゃんと眠れなかったからなー、、、


なんだか口唇が鉄の味だ。
口唇がガッサガサのボッロボロになっていたのだ。割れて痛い。
昨日リップクリーム塗り忘れたからなー、、、
残雪期の曇天模様でも、紫外線は強いのだ。甘く見てはイカンのだ。反省。


この日の朝の気温は2度。
気温が高いので、雪がゆるくなるのも早そうだ。

今から準備しても、出発できるのは早くて6時。
昨日のペースから考えて、本日の目的地である甲武信小屋までの所要時間は13~14時間。

こりゃダメだ。。。日のあるうちに到着なんかできない。
途中にはテント場も小屋も無いし、ビバーク前提で出発するのは主義に反する。(ビバークに対する僕の考えは、また別な機会に書きたいと思う。)

少なくとも、甲武信小屋に向けて今日出発するということは有り得ない。
さて、どうしようか。


小屋のご主人の話では、5月3日と4日が雨ということだ。
たとえば明日の早朝に改めて大弛小屋を出発して無事に甲武信小屋に辿り着けたとしても、その次の日は、雨でぐちゃぐちゃになった雪と格闘しながら歩かなくてはいけないということになる。
考えただけでブルーになる。

もう、決めた。
リタイヤしよう。

僕が山に負けた瞬間である。


そうなると、ここからどうやって下山するかという話になるわけだが、大弛小屋からのエスケープルートは2通りある。

1つは、川上牧丘林道を長野県側に下るルート。
これは、10kmほどで、JR信濃川上駅行のバス停に辿り着く。

もう1つは、川上牧丘林道を山梨県側に下るルート。
こちらは、バス停までは30kmあるが、15kmでタクシーが入れる場所まで下りられる。

ちなみに、どちらに行くにも、大弛峠から5kmは雪道をツボ足で、その後はアスファルトの上を歩くことになる。
どっちに転んでも、ひどいエスケープルートだ。

もうこの際、時刻表を確認することができないバスなんかアテにする気は無かった。
(小屋にもバスの時刻表は無かった。)
なので、山梨側に15km歩き、タクシーを呼ぶことにした。
つまり、雪道5km、アスファルト10kmである。
登山靴でアスファルトの路面を10km歩くというのはやったことがないが、非常に苦痛だということだけは想像がつく。林道が緩やかな下り道だというのだけが、せめてもの救いだ。
これはもう、こんなところでリタイヤする自分への罰ゲームだと思って受け入れるしかない。


とはいえ、せっかくここまで来たので、今日は国師ヶ岳と北奥千丈岳に登って、その後は小屋でビールでも飲みながらのんびり過ごして、明日の朝林道を下ればいいだろう。天気予報によれば、雨が降るのは明後日からだ。

というわけで、荷物のほとんどを小屋にデポして、SOLOとチェストバッグとマップケースを持って小屋を出る。

7:23、出発。
















青空も見える爽やかな朝だった。

国師ヶ岳へのルートは、小屋の向かって右奥に廻り込むように伸びて、そこからやや斜度のキツい登りになる。
もちろん、ろくに歩いている人もいないので、見事にツボ足で歩くことになる。





















歩き始めてすぐは、青空がきれいだった。
















出発から15分で「夢の庭園」に。
















「夢の庭園」は、7月の中旬あたりに来ると、ハクサンシャクナゲがきれいだそうだ。
















西の方を見ると、どこかの尾根が陽光を受けて輝いていたが、
















この写真を撮影した30秒後には、ガスに覆われてしまった。
どこの尾根なのか、地形図と照らし合わせる間も無かった。

南側から尾根にどんどんガスが上がってくる。あっという間に周囲がガスに包まれていった。
ガスの切れ間から朝日岳方面が見えた!と思っても、撮影しようとしている間にすぐにガスに包まれる。
















ちょっとこのガス(雲)の動きはマズイかも。。。
もしかしたら、予報よりも早く天気が崩れるかも。

この写真を撮影して10分もすると、もはや周りは完全にガスに包まれた。
自分の歩いている尾根は見えても、もう隣の尾根は見えない。

太陽の光もボンヤリ。





















出発して30分弱、分岐道標が現れる。
















「夢の庭園」を経由せずに大弛峠に出ることのできるルートがあるようだが、どこに出るのかよく分からない。

ガスはどんどん濃くなっていき、前国師岳の手前では、視界はもう数百メートル程度。
















まー、足跡たどって帰るぐらいのことはできるでしょう。

8:17、前国師岳到着。





















天気が良ければ眺望の良さそうな南側の展望も、本日はこんな感じ。
















国師ヶ岳方面への眺望も全然・・・。
















こんな感じだと、正直あんまり楽しくないわけで・・・。

淡々と国師ヶ岳へ向かう。

国師ヶ岳と北奥千丈岳との分岐点。
















特に道標があるわけでもないのだが、きっと視界が効けば分かりやすいのだろう。
今の僕は、このトレースに唯々諾々と頼らざるを得ない。
方角的には左手が国師ヶ岳、右手が奥北千丈岳。地形図と照らしても違和感は無い。

先に、この場所から近い国師ヶ岳に行ってみて、このトレースが正しいのかどうかを確認しよう。
というわけで左手のトレースを追う。

こんな感じの樹林帯を歩く。
















やはり立ち枯れている木が多い。

もう時刻は8:30を回ったところなので、だいぶ気温も上がってきたのか、木の枝からしずくがポタポタと落ちるようになってきた。

















8:36、国師ヶ岳の頂上広場に到着。
















国師ヶ岳の看板。
















背景は真っ白。眺望ゼロ。
とほほ・・・。

甲武信への道標。
















無念である。

国師ヶ岳から西沢渓谷へ下りる道は崩落しているそうだ。

















こんな視界不良では見るべきものとて無いので、さっさと引き上げて、北奥千丈岳に向かう。
先ほどの分岐までは来た道を戻る。

8:45、分岐到着。
















ここから10分もしないうちに、北奥千丈岳の頂上広場に到着。
















完全にガスっている山頂と、看板。
















一応これで、奥秩父最高峰。2,601mなのね。
なんにしても、何も見えなさ過ぎる。去年の台風の日に登った奥武蔵の伊豆ヶ岳でも、視界はもうちょっとマシだった。

そんなわけで、さっさと小屋に戻ることにした。

9:40、大弛小屋に到着。

8時を回ったあたりから雪がグズグズになりだしたが、やはり荷物が軽いと気にせず歩ける。
ライト&ファストが流行っているのは伊達じゃないんだなー。


つづく

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