このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年10月1日月曜日

山行記 : 2012年9月15日~ 八ヶ岳全山縦走 【3日目】 縞枯山荘~蓼科山~下山

(この記事は「【2日目その2】 縞枯山荘の夜」編からの続きです)


山の朝は早い。

朝食が5時半なので、5時前に起きて出発準備を開始した。
前日の夜にはヘトヘトになって、どうやってショートカットして帰るかばかりを考えていたが、またもや寝て起きてみたら元気になっていたので、頑張って歩こうという気持ちが強くなる。

とはいえ、1日目、2日目の様子を振り返るに、どうやら僕の歩くスピードはこの八ヶ岳においてはコースタイム通りのようなので、元からの予定通りに歩くともしかしたらバスに間に合わなくなるかもしれない。
そこで、大岳だけはルートから外すことにした。

本日のルートは以下の通りと定めた。

縞枯山荘 → 北横岳 → 双子池 → 双子山 → 大河原峠 → 将軍平 → 蓼科山 → 蓼科山登山口(女神茶屋)

5:30、朝食。


朝はやはり食欲が無く、味噌汁で流し込むように食べたが、大変美味しい朝食であることは間違いない。

準備に手間取り、6:24、やっと出発。


ご主人が玄関まで見送ってくれた。

朝のうちは少し雨粒がポツポツと落ちてきたが、わざわざ雨具を着るほどではない。
雨というよりも、雲の水蒸気の粒が大きいという程度のものだ。
むしろこっちは荷物を背負ってガツガツ歩いて火照っているので、気持ち良いぐらいだった。

6:34、坪庭を経て北横岳への登山道に入る。


ここからは、しばらく岩ゴツゴツの樹林帯を歩く。


木々の間から、昨日苦しめられた縞枯山の姿も見えた。


ピラタス蓼科ロープウェイの山頂駅も見える。


だんだん登山道に転がる岩も大きくなってきて、なかなかエグいルートになってくる。


6:59、三ツ岳と北横岳の分岐が見えてくる。


分岐には、三ツ岳方面へ行くルートについての注意書きが掲示されている。


正直、この立て看板のいう「軽装」っていうのがどの程度なのかよく分からない・・・。登攀道具が無いとマズいんだろうか。それにしては、山と高原地図では一般ルートになっているんだが、、、
まあ、行かないからいいけど。

というわけで、北横岳方面に急ぐ。

7:03、北横岳ヒュッテに到着。


例によって、ペットボトルのお茶を購入。

北横岳ヒュッテの目の前には、七ツ池けの分岐もあるが、スルーして先を急ぐ。


相変わらず岩がゴロゴロした登山道を歩く。


なぜか補助ロープが垂らされていた。
これを見て、三ツ岳への分岐の立て看板が、どんな人を対象にした注意書きかが理解できたような気がした。
同じ八ヶ岳と言いながら、北と南では随分温度感が違うなぁ。

7:20、北横岳山頂に到着。



僅かに青空が見えているが、基本的に周りの景色は濃いガスに覆われて全然見えない。
さらに、周りに遮るものが無いので、強風に煽られまくる。
今日は風が強い。

長居しても仕方がないので、さっさと亀甲池方面に降りる。

山頂直下はなにもないのっぺらぼうな道。


だが、次第に樹林帯に突入する。
樹林の間からガスがもうもうと立ち上る様が見えた。


遠くには双子山の山頂だけがガスの切れ間から見えた。


次第に周りは苔むし、緑の絨毯のよう。


8:09、そんな樹林帯の空がポッカリと開け、亀甲池が姿を現す。


って、これ池だよな??と目を疑うような光景が広がる。
完全に干上がっていて、水なんかどこにも無い。
奥に見える「亀甲池」の看板がより虚しさを際立たせる。やっぱり水不足なんだろうか。。。

気を取り直して、双子池に向かうことにする。
果たして双子池は無事なんだろうか。。。

双子池と天祥寺原との分岐。


ここで天祥寺原の方に進路を取ると、いろいろ寄り道せずに蓼科山に登れるのだが、やっぱり双子池と双子山は行っておきたい。それに、大岳をスキップしたおかげで、今日は非常に時間に余裕がある。
ということで、今朝考えたルート通り、双子池へ。

この分岐近くは、おそらくシカが樹皮を剥がしてしまった様子の樹木が何本も見受けられた。


前日に見た、クマが剥がしたと思われる痕とは異なり、こそぎ落としたように見えるところから、シカであろうと推察できる。なんとも痛々しい。

亀甲池から双子池へは、大岳と双子山の鞍部を越える。まさにプチ峠越え。
だが、その傾斜はあくまでなだらかだ。


双子山と大岳の鞍部。


鬱蒼として湿度の高い樹林帯。

この先、なぜかやたらと倒木がたくさん登場して行く手を阻む。


上を跨ぐには高く、下をくぐるには低い。
アスレチックランドか、ここは!

そんな難関をクリアして、8:39、双子池の片割れである雌池に至る。


よかった、ここは干上がってはいない。

この雌池のほとりに、双子池キャンプ場はある。
キャンプ場とはいっても、僕が見た範囲では広々と敷地が広がっているのではなく、テントを立てられるようなスペースがあちらこちらに点在しているといった感じだった。
もしかしたら、もっと奥に広々としたスペースがあるのかもしれないが。

双子池キャンプ場といえば、昨日縞枯山山頂で会ったニーチャンは無事ここまで昨日のうちにたどり着けたのだろうか。縞枯山荘からでも2時間かかったのに、あの後ここまで来たとしたら大変だっただろうなぁ。

この雌池のほとりをぐるりと回り込むように進むと、双子池ヒュッテに至る。

8:49、双子池ヒュッテに到着。


双子池ヒュッテの入口に立つと、双子池のもう一方である雄池が見える。


双子池ヒュッテの入口前のベンチが、日だまりになっていてことのほか気持ちよく、スポーツドリンクを購入して約10分間の停滞をする。
このまま寝てしまいたいという欲望がもりもりと湧き上がってくるが、スケジュール上そんな余裕は無い。そういうのは、ゆる山登山のときにとっておくことにして、先を急ぐことにする。

双子山への登山道は、双子池ヒュッテのすぐ手前から入る。


登山道はやたら笹薮の中を通るのだが、道はしっかり刈り払われていて手入れが行き届いている印象。


刈り払われた笹が登山道に敷き詰められるように残っていることがあり、笹の匂いが立ち篭めていたりする。チマキが食べたくなる匂いだ。

双子山は基本的に濃い樹林に覆われているのだが、2つあるピーク(2つあるから「双子山」なんだと思う)の周辺は樹木が全く無い。
そのため、1つ目のピーク(低い方)の手前に出ると、いきなり視界が広がる。


蓼科山の姿も見えた。


9:32、双子山の低い方のピークに到着。


写真中央に写っているのが、高い方のピーク。

やたら風が強くて体温をぐんぐん持っていかれるが、この風がガスを吹き飛ばしてくれたのだろうと思うと、感謝の念を抱かずにはいられない。

強風の中、高い方のピークに向かう。


こちらは打って変わって笹原の尾根。どっちにしても風を遮ってくれるものは無し。

9:38、双子山の高い方のピークに到着。


一応こっちが双子山の山頂ということで。

やっぱり風が強いので、大河原峠に向かってさっさと降りることにする。
大河原峠を通る蓼科スカイラインが、山頂からでも見える。


昨日、麦草峠で車道を見たときは、早く下山したくて大いに凹んだわけだが、今回は「もうすぐ帰れる!」という予感の裏付けのように感じて、テンションが大いに上がった。
下界にいれば山が恋しくて、山にいれば下界が恋しくて。なんともタチの悪いウラハラな心持ちだ。

双子山山頂から少し下ったところに、なぜか大きなケルンが設けられていた。


どうもやはり、ケルンってのは薄気味悪くて嫌だ。
薄暗い中でこんなもんが現れたら、泣いてしまうかもしれない。
そーっとすり抜けるように横を歩いて先を急いだ。

と、正面から突然、ライダースにエンジニアブーツという出で立ちの人が登山道を登ってきた。
一瞬ぎょっとしてしまったが、考えてみればここは、大河原峠までツーリングに来た人がついでに散策するような場所でもあるのだ。
にしても、このオフロードでエンジニアブーツか・・・。

そんなこんなで、いよいよ峠の様子が見えてくる。


あの赤い屋根は大河原ヒュッテか?

9:53、いよいよ大河原峠に到着。


大河原ヒュッテは閉まっている模様。完全予約制で、予約が無いときは閉めていることもあるそうだ。


幸いにも、同じく大河原峠にある売店は開いていた。


ここで、ラーメンと杏仁豆腐のセットを注文して、早めの昼食とした。


このラーメンが出てくるまで、売店で飼われている犬(ラブラドールレトリバーか?)と遊ぶ。


やたらと人懐っこく、落ち着き無くジャレるので、まだ幼いのかと思ったら、ご主人によるともう6歳なんだそうで。
人間で言うと、ちょうど僕と同じぐらい。

「いい年していつまでも子供っぽくてねー」
「よく見るとヒゲがちょっと白くなってきてるんだよね」

とご主人が言うのを聞いて、まるで自分のことを言われているような気分になり、犬にシンパシーを感じてしまった。
自分も最近すっかり白髪が増えてしまったが、昨日も散々学生と間違えられたし・・・。

さて、ラーメンを食べたら気を取り直して、最後の峰である蓼科山に向かう。いよいよこれが最後だ。

大河原峠から最後に見た下界は青かった。


登り始めてしばらくは、鬱蒼とした樹林帯。


歩き続けること30分、唐突に現れた「佐久市最高地点」の標識。


わりとどうでもいい情報なのだが、並みの山頂よりも自己主張が激しい。
なんなら、縞枯山の山頂よりも立派な標識だ。佐久市の並々ならぬ思いが伝わってくる。
が、どうでもいいので先を急ぐ。僕の今の目的地は、2,500mオーバーなのだ。

その2,500mオーバーが、木々の間から見えてきた。


あのピークを越えれば、人間界に帰れるのだ。もうクマの気配に怯えることも、タイムオーバーで山小屋のオヤジに怒られることもない世界に戻れるのだ。

11:17、赤谷の分岐nい到着。


なんてことない分岐。

すこし歩くと、急に広々とした場所に出る。


ここまで来れば、将軍平はもうすぐだ。

11:27、将軍平到着。


将軍平には蓼科山荘がある。


ここまで来れば、いよいよここから本格的に蓼科山に登ることになる。
ここから下山予定地(女神茶屋登山口)までコースタイムは2時間10分。ちょっとゆとりを考えても14時には下山できるのではないか。
バスの時刻まで随分待たなきゃならなくなるなー。。。
そう思って、携帯でタクシーを予約する。14:00に女神茶屋ということで。

そうこうするうちに11:40になってしまった。まずい、余裕が無い。
急いで蓼科山荘を後にした。

蓼科山荘から山頂までは、岩、岩、岩。


斜度も急でなかなかキツイ。
こんな険しいワリに、ピクニックにしか見えないようなカッコの人もチラホラ目に付いた。この手軽さが北八ヶ岳の良いところであり、怖いところでもあるだろう。


振り返ると、けっこうな高度感。
向こうに見えるのは多分前掛山。

12:08、山頂直下の山小屋・蓼科山頂ヒュッテに到着。


蓼科山頂ヒュッテから山頂を見ると、もうすぐそこに山頂を示す標識があるのが見える。


もう頂上に着いたも同然!と思っていたら、以外に足元のゴロゴロ岩に足をとられて歩きにくいのと、飛ばされそうな突風とで、山頂の標識まで2分かかってしまった。

そんなわけで、12:10、最後のピークである蓼科山山頂に到着。


広い山頂には、ちょこんと祠が建てられている。


この広い山頂では、かろうじて風を避けられるような大きな岩陰などに退避してランチを食べる登山者の姿が多数見受けられた。
そこまでして山頂で食べたいのだろうか、、、

さて、山頂からの眺望だが、南を見ると、南八ヶ岳の山々と北横岳。


南八ヶ岳の山々は、残念ながらてっぺんをピンポイントで雲に隠されていた。
まー、昨日散々見た山々だからもういいけど。

西側には霧ヶ峰。


この歩きにくい上に広い山頂をあっちに行ったりこっちに行ったりしていたら、いつの間にか時間が過ぎていた。
気付けばもう12:20。タクシーとの約束の時刻まで、あと1時間40分しかない。
コースタイムどおりに歩けばちょうど待ち合わせ時刻の14:00に女神茶屋に到着できるが、どうも北八ヶ岳に入ってから下だりのコースタイムがシビアに感じているので、もしかしたら危ういかもしれない。
急いで下山ルートに入る。

下山ルートである蓼科山登山口(通称:女神茶屋登山口)へは、まず、山頂直下をトラバースするように大きな岩の上を歩く。


ところどころに赤錆色の鉄の棒が立てられているが、厳冬期の目印だろうか。


岩場は歩きにくくてシンドイし、強風に煽られてバランスを崩しそうになるけれど、遮るものがない分、非常に眺めが良い。

八ヶ岳の西側の麓のすべて。


そして、茅野。


しばらく降りると、やっとハイマツ帯に入る。
そのハイマツ帯との境界線あたりにあった看板↓。


うん、知ってた。すごく注意して降りてきた。

この看板を過ぎると、徐々に樹木の背丈が高くなっていく。


樹林帯に入ると、あとは黙々とひたすら標高を下げることに集中するばかりだ。

そんなとき、前方から登ってくる家族連れがいた。
お父さんは小さい子供を背負って、お母さんは小さなリュックを背負ってトートバッグを肩にかけている。
あまりにもこの場に似つかわしくない出立ちに、思わず「上は風が強いんでお気を付けて」と声をかける。声をかけられたほうは、ポカーンとして「あ、はい」と応える。登山者にとっては当たり前の声がけにも、きっと慣れていなかったのだろう。大丈夫なんだろうか、いろいろ。。。

13時頃、空を見ると、ヤバそうな雲が迫ってきていた。


ヤバイ。あの雲に追いつかれないうちに下山しないと!

焦って歩くものの、なかなか歩きづらい登山道。
やっと2,113mの三角点に到着したのは、13:12だった。


南八ヶ岳方面の展望があるやに、山と高原地図に書いてあったが、ガスの向こうだった。。。


ここからは、ひたすら退屈な樹林帯。
しかも途中から笹薮になる。


藪そのものは何でもないが、怖いのは、こういう視界の効かないところでクマと鉢合わせすること。
こういう場所で出会い頭の事故が起こりやすいのだ。

熊鈴だけでは心もとないので、柏手を打ちながら歩く。
きっと近くにいる登山者は何事かと思っていることだろう。

13:53、ついに女神茶屋のバス停に到着。


その向かい側に建つ女神茶屋は、見事に閉店していた。


すでにタクシーは待っていてくれていて、すぐに出発できた。
そのまま日帰り温泉に向かう。

車中で、運転手さんに全山縦走してきた旨を話すと、「いい経験をしましたね。」と言われた。
「いいですね」とか「すごいですね」とかではなく、「いい経験しましたね」という言葉が非常にしっくりきた。辛かったことも、すばらしかった景色も、すべてひっくるめて「いい経験」だったのだ。

こうして、僕の八ヶ岳全山縦走の3日間が終わった。


余談だが、日帰り温泉に入っている間に土砂降りになった。
やっぱりオレは晴れ男だと確信した瞬間だ。


(「総括」つづく)

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